借り上げ社宅のメリット・デメリット

社宅は、社員の住宅を企業が提供する福利厚生の1つです。そして社宅には、大きく分けて「社有社宅」と「借り上げ社宅」の2種類があります。本記事では「借り上げ住宅」に焦点を当て、そのメリット・デメリットについて詳しく解説します。本記事が、社宅の導入を検討している事業者にとって参考になれば幸いです。

借り上げ社宅のメリット

借り上げ社宅は、企業と従業員の双方に多くのメリットを提供する制度です。

節税効果が期待できる

まず、企業にとっては節税効果があります。

企業が負担する家賃を福利厚生費として処理でき、賃料分の社会保険料を払う必要がなくなります。そのため、企業のコスト削減が実現します。一方、従業員もメリットを享受可能です。

通常、給与から家賃を支払うため税金がかかりますが、社宅制度を利用することで家賃分の税負担が軽減され、手取り金額が増える結果となります。これにより、従業員は住宅費の補助を受けつつ、生活の質を向上させることができます。

従業員の生活安定に寄与する

また、借り上げ社宅は従業員の生活安定に寄与します。

特に都心部での高い住宅費が従業員の負担となりやすいため、新卒や若手社員にとっては、家賃補助が生活の質を安定させる重要な要素となります。

顕著なのは、ある企業では新卒採用の若手社員に社宅制度を導入したところ、定着率が向上したという事例です。家賃補助が従業員の可処分所得を増やし、生活満足度が向上した結果、企業への忠誠心やエンゲージメントも高まったと言われています。

企業のエンゲージメント向上につながる

借り上げ社宅はまた、企業のエンゲージメント向上にも寄与します。

従業員が経済的な余裕を持つことで、プライベートの充実が図られ、仕事への意欲も増すという効果が見込まれやすいです。

特に、長時間勤務や通勤時間の長い業界においては、借り上げ社宅によって通勤時間が短縮されて従業員の疲労感が軽減されることで、仕事へのモチベーションが高まります。このように、エンゲージメントが向上することで、企業の成長にも繋がります。

採用活動においても有利に働く

さらに、借り上げ社宅は採用活動においても有利に働きます。

福利厚生が充実している企業は、求職者にとって魅力的に映ります。特に、福利厚生を重視する就活生に対して、社宅制度をPRすることは採用活動において強力な武器となるでしょう。

不動産管理業務を簡素化できる

最後に、借り上げ社宅は不動産管理業務を簡素化するという点でもメリットがあります。

企業が自ら物件を所有し管理する場合、設備管理や修繕費用などの負担が伴います。しかし、借り上げ社宅ではそのような管理業務を不動産会社に任せることができるため、企業の負担が軽減されるでしょう。この柔軟な制度は、企業にとっても効率的で経済的な選択肢となります。

借り上げ社宅のデメリット

借り上げ社宅制度には多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。

物件探し・手続きに手間がかかる

まず、物件探しや手続き、従業員サポートにかかる手間です。

社宅の運用には物件選定、契約内容の確認、賃貸条件の交渉など、不動産の専門知識と多くの工数が求められます。また、従業員一人ひとりに対応するため専任担当者が必要となり、運用の負担が増えます。

空き部屋発生時の家賃支払い

次に、空き部屋が発生した場合の家賃支払いです。

急な異動や退職で空き部屋が出ると、その分の家賃が無駄に発生します。空き部屋が多くなると、経費がかさんでしまうため、柔軟な契約期間の物件を使うことも検討する必要があります。最近では、サブスクリプション型の社宅サービスも登場し、そちらでは柔軟な対応が可能です。

違約金の発生も考慮しなければいけない

また、契約期間内に解約する際には違約金が発生することもあります。

特に、安価な賃料で提供される社宅では、長期契約を結ぶ際に解約時のリスクを考慮する必要があります。

まとめ

借り上げ社宅制度は、企業と従業員双方に多くのメリットを提供します。企業は節税効果を享受し、従業員は住宅費の補助を受けることで生活の質を向上させ、エンゲージメントや定着率の向上にも繋がります。さらに、採用活動や不動産管理の簡素化にも有利です。しかし、物件探しや手続きにかかる手間、空き部屋による無駄な家賃支払い、解約時の違約金といったデメリットも存在します。制度導入時にはこれらを十分に検討することが重要です。