借り上げ社宅と住宅手当どっちがおすすめ?
福利厚生の充実度は、人材応募の際に確認されやすい項目です。そして、企業の住に関する主な福利厚生として、借り上げ住宅の提供や住宅手当があります。それぞれに特徴やメリット・デメリットがあるため、企業側はそれらを正しく知っておく必要があります。本記事を参考に、自社に合った住宅関連の福利厚生を選択してください。
借り上げ社宅の特徴
借り上げ社宅とは、企業が従業員のために契約した賃貸物件を提供する制度です。
会社が家主や不動産業者に家賃を支払い、従業員の給与からその分を徴収します。支給条件は、企業によって異なります。30歳未満の単身者に独身寮として提供されたり、結婚や家族構成の変化に応じて一時的に支給されたりすることが多いです。
借り上げ社宅の家賃負担については賃貸料相当額という概念があります。これは、固定資産税評価額や建物面積にもとづいて算出されます。従業員が家賃の50%以上を負担する場合、給与課税の対象外となるのです。
ただし、固定資産税評価額の変動や計算の手間から、多くの企業は家賃負担割合を便宜的に設定しています。
借り上げ住宅のメリット
借り上げ住宅制度のメリットとしては、企業側では所得税や法人税の節税効果があります。
従業員の給与を抑えることで、社会保険料の負担も軽減できます。また、採用時のアピールポイントとなり、従業員の定着率向上や仕事へのモチベーション向上にも寄与可能です。
一方、従業員にとっては敷金・礼金を払わずに住居を確保できるうえ、所得税や社会保険料の負担軽減といった経済的メリットがあります。
借り上げ住宅のデメリット
借り上げ住宅のデメリットとして、企業側に契約管理や更新手続きといった業務負担が生じるほか、管理費や更新料が発生します。
また、従業員が短期で転居する場合は礼金や事務手数料、新たな契約費用などが必要になるほか、退去時に違約金が発生する場合もあります。
住宅手当の特徴
住宅手当(家賃補助)とは、企業が従業員の賃貸住宅の家賃を一部補助する制度で、家賃補助とも呼ばれます。
法的な制約がないため、支給条件や金額は企業が自由に設定可能です。支給条件は企業ごとに異なり、全従業員に一律で支給する場合もあれば、賃貸物件に住む従業員のみに限定する場合もあります。また、持ち家や実家住まいなど、居住環境にもとづく制限が設けられることもあります。
住宅手当のメリット
住宅手当の最大のメリットは、企業が物件を探したり契約手続きを行ったりする必要がない点です。
従業員自身が住む物件を選び、現在の住居に住み続けながら手当を受けられるため、会社側の管理負担が少なくて済みます。また、住宅手当は従業員の生活支援となり、仕事へのモチベーション向上や職場への定着率向上につながるとされています。
住宅手当のデメリット
一方で、住宅手当にはいくつかのデメリットがあります。
手当が給与の一部として現金で支給されるため、所得税や住民税、社会保険料が増加し、従業員の手取り額が減少する可能性があります。
また、支給対象者を設定する際には、転勤の有無や雇用形態などを考慮する必要があり、基準を明確にするのが難しい場合も多いです。とくに、全従業員を対象とする場合は同一労働同一賃金の適用が求められるため、正社員だけでなく契約社員やパートにも同様の手当を支給する必要があります。
まとめ
企業が提供する住宅関連の福利厚生には借り上げ社宅と住宅手当があり、それぞれに異なるメリット・デメリットがあります。借り上げ社宅は企業が賃貸契約を結び、従業員に住居を提供する仕組みです。所得税や法人税の節税効果が期待できる一方、契約管理や更新手続きなどの負担が発生します。一方、住宅手当は家賃の一部を現金で補助する制度です。企業の管理負担が少なく従業員が自由に住居を選べるメリットがありますが、税金や社会保険料が増える点が課題です。どちらを導入するか選択する際は、企業の規模や運用コスト、従業員のニーズを考慮して選択しましょう。
