社宅管理代行に依頼するとコストダウンができる理由
福利厚生事業の一環として社宅を提供することは、社員の定着率を高め、優秀な人材を確保するのに役立つため、導入する企業が増えてきています。
ただ、当然ながらその管理には手間がかかります。
そのため、近年では専門の社宅管理代行業者に管理を依頼する例が目立っています。代行業者の活用にはさまざまなメリットがあります。
プロのノウハウを利用できるという利点
ひと昔前の社宅といえば、企業が自ら保有する土地に集合住宅を建て、そこに社員及びその家族を居住させるという、いわゆる団地スタイルが主流でした。独身者向けには、食事の提供も行う寮形式のものも数多くありました。
しかし近年では、そのスタイルは多様化が進んでいます。その代表例が借り上げ社宅です。これは、民間のアパートやマンションを企業名義で賃借し、それを社員に提供するというものです。また、リロケーション住宅と言って、海外赴任などで長期間留守にする社員のマイホームを借り上げ、別の社員に賃貸するというスタイルなどもあります。
社宅管理代行サービスを利用するメリットは、こうした多様化にもプロフェッショナルに対応してもらえる点にあります。借り上げ社宅の場合であれば、当然ながら物件探しのノウハウが必要になります。昔ながらの団地を建てるにしても、施工業者の選定や工事の監督といった業務をこなさなくてはなりません。その企業の本業が実は建設業だったとでもいうのであれば話は別ですが、そうでない限りは専門家に任せる方が効率的に業務を進められます。
人件費を節減し人材の有効活用を実現
社宅管理代行業者に依頼することで得られる利点は、ノウハウの面だけではありません。経済的な面においてもメリットをもたらしてくれます。
その1つは、人件費のコストダウンを図れることです。企業が社宅を直接運営するとなると、その管理業務は総務部門や管財部門などが担当することとなります。入居者の募集から契約の締結、家賃の収納に至るまで、すべて自ら行わなくてはなりません。
短期間雇用の従業員が入居する工場の寮などにおいては、時おり寮費を支払わないまま退去してしまう方もいるので、督促に出歩かなければならないこともあります。その他、補修や改修工事の手配も必要になります。
また、借り上げ社宅の場合は、物件オーナーへの家賃の支払いと社員からの家賃の受け入れと、二重の経理処理が必要になります。敷金などの管理も同様です。専門業者への委託は、こうした手間を一括して外注できるため、より少ない人員体制でも社宅の運営が行えるようになります。
現物支給による節税効果も見逃せない
社宅管理代行業者の利用がコストダウンにつながる理由は、さらにもう1つあります。それは、住宅手当との関係です。社員が住居を安定的に確保して職務に専念できるよう、企業が住宅手当という名目で現金支給を行う例はよく見られますが、この場合の目的は福利厚生であっても税法上は給与の一部と見なされるので、課税対象となります。しかし社宅という形で現物支給すれば課税対象にはなりません。
その上、管理代行業者に委託すれば、そのサービス利用料は企業側にあっては経費として計上することができます。つまり、節税効果も得られるわけです。その他、備品や消耗品などの購入にかかるコストダウン効果も無視することができません。複数の企業から業務を受託している代行業者などの場合は、住宅に必要な消耗品などを大量に一括購入するので、スケールメリットによって費用を下げることが可能です。それがサービス利用料にも反映されるので、企業が直接購入するよりも割安になるのです。
社宅管理代行業業者を導入すれば、社員からの要望や相談といった窓口対応をその業者に依頼することもできます。間に専門家をはさむことで、住宅にまつわるトラブルをスムーズに解決しやすくなるといった、副次的な効果も得られます。