社宅の家賃、管理費、敷金・礼金などは会社負担?それとも社員負担?
会社の福利厚生の一環として社宅制度を導入している企業があるでしょう。社員として働く場合、社宅制度があれば毎月の出費が抑えられるというメリットがありますが、どの費用をだれが支払うのか決めておかなければトラブルになる可能性があります。そこで本記事では、会社負担と社員負担の割合の決め方について解説します。
家賃の負担割合
一口に賃貸物件の賃料といっても、すべての物件でかかる費用もあれば、特定の物件でしか発生しない費用もあります。社宅制度を導入する場合、何の費用を会社と個人どちらが負担するのか決めておかなければトラブルに発展するでしょう。ただし、社宅制度は会社名義で物件を契約し、社員に提供する仕組みです。そのため原則として、どの物件でも必ずかかる費用は会社負担、そのほかの費用は個人負担と考えるのが基本です。
まずは賃料の大部分を占める家賃の負担割合について解説します。家賃はどの物件でも必ずかかる費用のため、会社負担と考えるのが基本です。しかし、全額会社負担とすると、社員への給与となってしまうのが注意点です。会社としては給与として計上できれば経費にできますが、社員は給与が上がってしまうと税金の負担が大きくなってしまいます。
そこで会社と社員の両方で負担すると、給与とみなされません。よくある決め方では、賃料上限〇〇円、その内××%を会社負担、残りを社員負担とするケースです。たとえば「賃料上限10万円、その内30%を会社負担、残りを社員負担」とすると、賃料が8万円の物件では会社負担が3万2,000円、社員負担が4万8,000円となります。
会社負担の社宅費用
社宅制度では会社名義で物件を契約するため、必ず発生する費用に関しては会社負担で支払うケースが多いです。たとえば敷金礼金や管理費、仲介手数料、更新料、原状回復費用、さらには火災保険料や鍵の交換費用も会社が負担します。
ただし、敷金礼金は上限3か月までと規定を設けるケースが多いでしょう。なお、原状回復の費用も基本的に会社負担ですが、社員の故意・過失によって汚れや傷が発生し、原状回復費用が高額になるケースにはルールを定めている会社もあります。
たとえば、ペット不可の物件で勝手にペットを飼い、おしっこの染みがクロスについてしまった、モノを投げて壁に穴が開いてしまったとなると高額な原状復帰費用がかかるでしょう。やむを得ない理由で発生した損傷以外は会社で負担できないとするなら、原状復帰費用に上限を設け、規定額を超えた分を社員負担とすることもできます。
社員負担の社宅費用
物件を契約するのにかかる費用とは異なり、生活していく中で発生する費用に関しては社員負担となります。たとえば、光熱費や水道代、インターネット代は個人で負担しなければなりません。また、住んでいる場所によっては町会費を求められることもありますが、町会費も個人負担となります。
町会費は任意であるケースが多く、必ず発生する費用ではないため会社負担にはできないのです。社宅制度はさまざまな費用が発生するため、単純に賃料の負担割合を決めるだけでなく、項目ごとにルールを決めておくことが重要です。決定事項は文章として残し、契約後にトラブルにならないよう注意しましょう。
まとめ
社宅制度は福利厚生の仕組みとして人気の高い制度ですが、お金が関わる分、慎重に規定を決めなければなりません。単純に家賃の負担割合を決めるだけでなく、項目ごとにルールを決めていくのがよいでしょう。また、社員が入居してからトラブルになるのを防止するためにも、契約内容は書面に残しておく、ルールに定めていないことが発生したら柔軟に対応するといった対処法を考えておくことも大切です。