社長や役員の自宅を社宅にすることで節税効果が得られるって本当?
日本は累進課税制度を導入しており、会社の利益や個人の所得が高額になるほど高い税金を支払わなければなりません。そこで納める税金の額を減らしたいと考えている方も多いでしょう。節税対策の一つに、社長や役員の自宅を社宅にする方法があります。そこで本記事では、社長・役員の自宅を社宅にすることで得られる節税効果を詳しく解説します。
社長や役員の自宅を社宅にするメリット
社宅制度という言葉を聞いたことがある方も多いでしょう。人は生活していくうえで必ずお金がかかります。その中でも大きなウエイトを占める固定費に住居費が挙げられます。住居費が都会の単身用物件で10万円程度、2人暮らしやファミリー向けの物件となると10万円は必ずかかるといっても過言ではないでしょう。
そこで家賃の一部費用を負担してくれる福利厚生制度に、社宅制度があります。社員にとっては住居費を抑えられるというメリットがありますが、会社にとっても節税メリットがあるのです。社宅として会社が社長や役員に社宅を提供することで会社は損金として計上できるため、節税になります。
一方、社長や役員は、住居費の一部を会社が負担してくれるため、その分役員報酬を下げて社会保険料を安くできるでしょう。社会保険料や原則として給与や役員報酬の額で決まるため、報酬をさげれば社会保険料が安くなるのです。
社長や役員の自宅を社宅にするデメリット
社長や役員の自宅を社宅にすることで、会社と社長・役員にとってメリットがあります。ただし、デメリットや注意点もあるため、正しく仕組みを理解しておくことが大切です。
まず、社宅制度を導入する場合は、社内規定をしっかりと決めましょう。規定のないまま制度を導入してしまうと、ルールがあいまいになってトラブルになる可能性があります。とくに社長や役員にのみメリットがある制度だと判断されないよう注意しなければなりません。また、豪華な社宅を提供したり、社長や役員から適正な賃料をもらわなかったりすると給与として課税されてしまうので注意しましょう。
さらに、社宅制度を導入する場合、会社には多額の初期費用がかかります。敷金礼金や物件の手配も会社負担となるため、初期費用に対する節税効果を得られるか慎重に判断することをおすすめします。
節税効果はどのくらいあるのか
会社に利益が残るのはよいことですが、その分納税額が大きくなります。納税に多額の費用をかけるなら、社員に還元したいと考える企業が多いのではないでしょうか。社長や役員の自宅を社宅とする場合、支払った家賃に対して50~80%を経費として計上できます。たとえば家賃相当額が10万円の物件があったとして、そのうち半分の5万円を会社負担、残りの5万円を社長が負担したとします。
その場合、企業は支払った5万円を経費として計上でき、課税対象となる売上から差し引けるのです。ただし、社員か社長なのか、物件の規模などによって会社が負担できる家賃の割合が変わります。仕組みを理解すれば、社宅制度を導入して節税対策をしつつ、社員にとって働きやすい環境を実現できるでしょう。
まとめ
社員や役員の自宅を社宅にすることで、節税効果を得られます。会社は家賃負担分を経費として計上でき、さらに社長や役員は家賃負担額が減ることで役員報酬の金額を下げられるのです。社会保険料の金額は役員報酬の金額に応じて決まるため、安くなるほど負担を軽くできるのです。ただし、会社が負担できる割合は物件や役職によって異なります。また、社宅制度は会社に初期費用がかかるため、初期費用に対して節税効果が得られるかも確認しましょう。